6)結 言
以上でペガサスの作用、活用範囲について概観を了ることにするが、この貴重な資源に対する一般の認識は極めて限られた範囲に止っていることは残念である。
現在、公害の最も簡単な処理法としては焼却が行われている。しかし化石燃料の膨大な消費は大気中の炭酸ガス濃度を高め、温室効果によって気温の上昇を招く。逆に不燃焼の微塵はダイオキシンを発生し、また太陽熱を上空で吸収遮断して気温を低め、そのため1950年以降、陸地や工場の少ない南半球では気温が上がり、大気汚染の進んでいる北半球では下がりつつある著しい傾向を示し、これが異常気象の大きな原因となっていると主張する学者もある。
しかも貴重な石油を消費し、焼却物の中にはパルプスラッジのように二次資源として利用し得るものもあり、公害処理方式には吸着などの問題も含めて再検討を要する面が多い。
現在の日本農業は石油消費の上に成り立っているともいわれている。肥料、農薬、ハウス用ビニールなど何れも石油消費型の化成品である。肥料、農薬の使用量を節減し得る方法があるとすれば、省エネルギーの立場から全社会的に再検討されるべきではなかろうか。
畜産経営の規模の大型化に伴って、飼料中には抗生物質が添加され農薬と同様、催畸性と残留毒性の被害のあることは周知のことである。
これらは必要悪として看過することを許されてもよいものだろうか。近年の異常気象に北極の寒冷化が上げられている。北極が寒冷化すれば亜熱帯性低気圧帯はその位置が南下し、その地帯は乾燥し、国連委員会が設置され問題化した種の砂漠地拡大現象が起こり、逆に北側では寒
風が吹き込んで冷害になる。
その現象はすでに日本でも東北地方の冷害、南西地方の早魃という異常になって現れている。
この異常気象の下では、いつ地球的規模の食糧不足という深刻な事態が起こらないとも限らない。
日本では現在余剰米を名分として減反政策が採られている。しかし万一にも海外からの輸入が途絶えるような事態を想定するならば、現有農地の生産性向上、火山灰地帯、荒無地の肥沃地などは現在直ちに着手されるべきではなかろうか。
これらの諸問題に対して、有効な解決手段であり、しかも絶対無公害性の多元素、多孔質天然鉱物であるペガサスに対する認識の深まることを心から望みたい。
理学博士 竹 下 茂 雄
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