理学博士 竹下 茂雄



■ペガサス活用に関する提案■

(1)要 旨

 一国の資源とは、その国の地球物理的立地条件、人口、国民性、文化的遺産などの一切を含むものと我々は理解 する。近年の地球的規模の異常気象、大型地震等の自然にみられる異常気象と、それに加えて劇化しつつある国際 政治経済上のいわゆる東西南北問題を背景として、一つの国が当面するこの自然、人文両面にわたる大転換の周 期にあたって有効な対策を具体的に打ち出すためには、まずその固有資源をフル活用することが前提でなければなら ない。

 現在、なお活発な地殻変動のさなかにあって、地球上で最も活動的な地域に位置する弧状列島日本は、なるほど金属資源、エネルギー資源等に関する限りでは少資源国に違いない。しかし、弧状列島特有の地向斜海の隆起、火山爆発による大量のマグマの供給、多量の雨や気象変化による侵食風化による堆積岩の生成、激しい地殻変動による広域変成帯の形成など、大陸地殻にみられない特殊な条件によって生成された別種の無尽蔵に近い資源に恵まれ、この資源を活用することによってわが国の食糧問題(農水畜産)、公害防止、人畜の健康に関する諸問題、工学的利用、延いては広汎な国土計画に関する緒問題に対して、想像以上の価値のある効果を上げ得る可能性が存在する。

 以下、その内容、範囲などについて極めて大まかであるが概観してみたい。





(2)特殊の鉱物資源

 日本列島の成因についてごく大掴みにいえば、アジア大陸地殻から太平洋底に流れ込んだ沈澱物によって形づくられた地向斜海の重力沈降が、ある時期に激しい海底火山の爆発に伴って隆起に転じ、新たに隆化して大陸の辺稜部を創り出したが、押し寄せる太平洋プレートがその下部に潜り込み、その海に新しい地殻変動が起されて火山爆発、マグマの上昇が相次ぐことになるが、上昇するマグマに場所を提供するため、大陸の辺稜部が大陸から分離し太平洋方向に移動して漸次今日の日本列島の原型が創り出され、その間に始生代の造山活動、古生代末のヴァリスカン造山活動、中生代末のアルプス造山活動、新第三期のグリーンターフ造山活動など数度にわたる全地球的造山活動、火山活動、変成作用の影響を受けて複雑な地形と地質を創り出したものと考えられている。その活動の激しかった地域には小規模ではあるが白金、金、銀などの稀有元素から鉄、銅、鉛、亜鉛、マンガンなどは勿論、コバルト、モリブデン、ニッケル、水銀、アンチモン等からラジウム、ウラニウム、石灰、石油などのエネルギー資源などが存在しており、量的な問題はともかく、質的にいえば日本に決して資源貧弱国とはいえず、あらゆる鉱物の見本市の観を呈しているのである。

 地向斜海には海草、サンゴ、貝類、プランクトンなどが繁茂増殖する。これら海洋性生物は勿論必須元素としてカルシウム、マグネシウム、銅、マンガン、亜鉛、コバルト、バナジウム、沃素、臭素、その他の金属、非金属元素を海水から吸収し所謂生体濃縮をするが、枯死屍は分解して岩石化したり化石化したりする。

 地向斜海の隆起隆地化した後も火山活動や変成作用、それに伴う再結晶作用や熱による脱水作用などを受けて漸次複雑な組成を持つ多元素含有の多孔質構造を持つ特殊な変成岩や貢岩が生成されたものと推定される。

これらの変成岩や貢岩は賦存する場所によってそれぞれ特有の特色を示しながらもなお、多元素、多孔質という共通点を持ち、日本列島の内帯(日本海側)を覆っているグリーンターフ地域(緑色凝灰岩)、各広域変成帯の各所に存在しているのである。






(3)多元素、多孔質鉱物の特質と作用

ペガサスが多元素を含み、かつ多孔質を持つことから以下の作用を顕著に発揮する。

@ 多元素が徐々に水溶して生物に必須微量要素を補給する。
A チタニウム、パナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の持つα軌道電子は、触媒電子と呼ばれるほど活発な触媒作用を行う。従ってペガサスは工業上の触媒としても利用できる。
B 多孔質であることから当然強い吸着作用を示す。しかもこの吸着は活性炭、珪藻土、ゼオライトなど一般の吸着材より多元素という個別な要素が加わることによって異なった吸着作用を現す。即ち一般吸着材は、被吸着物質を多孔部位に物理的に吸着はするが、その後化学的にこれを変化させるということは無い。が、ペガサスは、例えば硫化水素を吸着すれば吸着材と化学的に反応して金属硫化物に、有機物を吸着すれば上記の触媒作用が働いて酸化分解するなど、物理的吸着と化学反応が連続するという特殊な作用を発揮する。
C ペガサスは殺菌作用を持つ。一般に殺菌は重金属に弱く、環境の重金属濃度が高まれば死滅する。また殺菌は水に対してマイナスに荷電するが、その荷電がプラスの荷電によって中和されると沈殿する。この溶液は電解質、あるいはコロイドとして重金属を含み、しかもコロイドは多孔質部位に細菌、ウィルスなどと吸着するから、吸着(活性炭)重金属(ボルドー液ー硫酸銅液) 荷電中和(逆性石鹸)滲透圧の増大などの効果が相乗的に加わって現れるものと考えて良かろう。
D ペガサスの吸着対象の範囲は幅広い。これは1つには多元素鉱物であるため被吸着物質と吸着材構成物質との間の、元素間に働く化学的親和力の幅広さに困るものと考えられる。例えばウラン、ストロンチウムなどはカルシウムに付着しやすい傾向があるように、各元素間には親和力と反発力がある。
またペガサスの多孔質口径は大小不問であって、人口ゼオライトの様に人工的に同一に作られたものではなく、大小様々な被吸着物質を引き付けることにも因るものと考えられる。
以上の性能は何れも多元素、多孔質という性格から導かれたものであるが、これは花崗岩や石灰岩質を中核とする大陸地殻とは対照的な輝石、角閃岩、緑紋岩、蛇紋岩、各種の雲母類など珪酸塩鉱物の複雑な混成岩、海洋生物起源の鉱物、化石など弧状列島、あるいは大陸辺稜部の地向斜海隆起地域特有の造岩鉱物が生み出したものであろうと推定される。


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